矯正相談に来られた患者さんとお話ししていると、「前歯だけを治したい」とか「奥の咬み合わせは気にならないから、見えるところだけを治したい」などと言われることがあります。
その理由としては、期間を短く終わらせたい、費用を安く抑えたい、などいろんなことがあるのかもしれません。
もちろん、全体はしっかりしているけど、一部がちょっとでこぼこしている、というような場合は、簡単な治療で済むこともあります。
しかし、ほとんどの場合、患者さんが気になっているのは症状のうちの氷山の一角で、それを治そうと思ったら全体的な治療が必要ということの方が多いです。
根本的な問題が解決されずに、気になるところだけを治療してもそれはなかなか安定せず、将来、後悔を残す原因になります。
患者さんの要求をそのまま受け入れて、気になるところだけの治療で終わらせることはある意味簡単ですし、患者さんもその場はそれで満足してくれるかもしれません。
しかしやはり矯正歯科医としては、将来安定しないであろうと予測できるようなゴール設定はできません。
患者さんが将来後悔することは容易に予測できますし、そうやって後悔して後々、セカンドオピニオンや再治療を希望して来院される方が少なくはありません。
SNSなどに真偽不明な情報が溢れている昨今では、誤った情報を正しいと思い込んでいる患者さんもいるので、患者さんには全体的にしっかりした咬み合わせを目標にするか、ということをできるだけ分かりやすく説明するようにしています。

御堂筋のイルミネーションが似合う寒さになってきました。









